麹と酒母ができると醪(もろみ)仕込みに移りますが、これも酒の出来を左右する大切な行程です。
仕込みタンクは昭和20年代くらいまでは杉桶が主流でしたが現在はホーローかステンレスのタンクで冷却装置がついたものも普及しております。
現在使われているタンクは10Kl(キロリットル)の白米で3t(トン)仕込みが多いのですが、90Kl(キロリットル)の白米30t(トン)仕込みの マンモス工場もあります。 吟醸酒はせいぜい白米1t仕込み程度です。
一度に大量の蒸し米や水を加えると醗酵などがうまくいかないので清酒の仕込みは3回にわけます。 これを三段仕込といいます。
酒母を1とすると、初添えでは2倍の原料、仲添えでは4倍、留添えでは 8倍と、倍々に増やして仕込みます。
2日目は踊りといって一日仕込みをやすませて、酵母の増殖をはかります。 醪の仲では米の澱粉が麹の力で糖化され、その糖が酵母の力で醗酵されアルコールとなります。
20%以上の高濃度のアルコールができます。 醪の期間は約20日間で、吟醸酒だと30~45日間にもなります。 現在はこうした半解放的なタンクが多く使われています。「醗酵中の醪」(資料提供:初孫)
醪造りの行程
初添え(添え仕込み)
仕込みの1~3時間前に酒母、麹、水を混合した水麹の中に蒸米を入れます。 添えは第二の酒母といわれるように、眠っていた酒母中の酵母の活性を呼び戻し、 増殖をはかることです。
踊り
初添えの翌日、一日休んで、酵母の増殖を待ちます。
仲添え(仲仕込み)
踊りの翌日、さらに麹と蒸米を入れます。
留添え(留仕込み)
仲添えの翌日、さらに麹と蒸米、水を入れます。仕込み後の温度は7~8℃が標準です。 上記のように、醪は4日間にわたり、3段階の仕込みをすることになります。
これを段掛法まただ段仕込みといいます。これは酒母を一度に大量の物科 (醪の原料である水、醪、蒸米)の中に加えると酵母菌数と酸が極端に薄められて、細菌などの 増殖に都合のよい条件をつくってしまうことをさけるために、段階をふんで増量させていきます。
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