洗米されたお米はさらに吸水させるために浸漬タンクに入れます。 吟醸用のお米の浸漬は短時間の限定吸水を行うので、 ストップウォッチ片手の作業となります。
この場合は浸漬タンクを使わずに人間の手で行うことが多いです。
精米された白米は、洗米・浸漬行程の間に20~40%の水分を吸収しますが、このときどれだけの水分を吸収するかが大きな問題となります。
ここで水分を吸いすぎた蒸米、逆に水分の少なすぎる蒸米では、決してよい麹ができません。
ところで、吟醸用白米のように精米歩合の低い白米は、精米中に白米の水分が蒸発するため、水分の少ない白米になり、このような白米は、非常に速いスピードで多量の水分を吸収しやすいため、 処理を誤ると大変なことになります。
いかにして吸水をコントロールするかが杜氏の腕にかかってきます。 ストップウォッチ等を使用するのもそのためです。
ここで水分の程よい蒸米ができれば、その後の製麹操作が大変スムーズになります。 昔から「一麹、二もと、三造り」と言われるゆえんです。
浸漬を終えた米は水切して余分な水分を取り除きます。
浸漬の目的は、米粒の中心まで水を充分に吸収させることによって、 蒸煮したときに完全な蒸米となるように、すなわちα化(生の米デンプンのかたい 結晶構造に水が入り、加熱によってデンプンが膨潤、糊化すること)が 完全に行われるようにするためです。
洗米の終了した白米はただちに浸漬タンクに移し、完全に洗米を移してから 一度水を排出して新しい水を加え、1~3時間、米粒内部中心まで浸透さます。
浸漬用水の水温は10~15℃が一般的です。洗米、浸漬後、米粒内部に吸収される量は、 吸収率で表示されます。
吸収率(%) = (浸漬後の白米の重量kg-白米の重量kg) ÷ 白米の重量kg × 100
予定の浸漬時間を経過した後、浸漬タンクから水を排出します。 これを水切りといいます。浸漬米の表面には余分な水分が付着しているので、 通常一夜程度水切りをします。
「浸漬具合の確認」(資料提供:初孫)