鐙屋は酒田を代表する廻船問屋で、江戸時代を通じて繁栄し 日本海海運に大きな役割を果たした姿を今に伝えております。 本姓を池田といいましたが、領主最上義光から鐙屋の屋号を 与えられてからは、鐙屋惣左衛門と称するようになりました。 また、酒田三十六人衆として町年寄役も務め町政に参画しておりました。
鐙屋の繁栄ぶりは、井原西鶴の「日本永代蔵」巻二の「舟人 馬かた鐙屋の庭に」に、「ここに酒田の町に、鐙屋といへる 大問屋住けるが、昔はわづかなる人宿せしに、其身才覚にて、 近年次第に家栄へ、諸国の客を引請、北の国一番の米の買入れ、 惣左衛門といふ名をしらざるはなし。 表口三十間裏行六十五間を、家蔵に立つづけ、台所の有様、 目を覚しける。」と記されています。
往時の屋敷地は「明暦二年酒田町絵図」(文政三年写) 及び鐙谷家の「家之記」(文化八年記)によれば、本町通りから 大工町通りまでは松原道で二分されていました。鐙屋の東側には、 元禄二年、酒田へ来遊した芭蕉をむかえた伊東不玉宅がありました。
現屋敷地は本町通りの居宅地側だけで、また、現在の家屋は、 弘化二年(1845)四月のいわゆる甘鯛火事の被災直後に再建されたものと伝えられています。 石置杉皮葺屋根の典型的な町屋造りで、内部は、通り庭 (土間)に面して、十間余の座敷・板の間が並んでおります。
NHK連続テレビ小説「おしん」の加賀屋のセットは、 鐙屋を模していると思われます。国指定文化財です。
●住所: | 酒田市中町1丁目14番20号 |
●TEL: | 0234-22-5001 |
●開館時間: | 午前9時~午後4時30分 |
●定休日: | 毎週月曜日(但し祝祭日は開館、翌日閉館。4~11月は無休) および年末年始 |
●料金: | 大人:310円、高大:210円、小中100円 |
●交通: | 酒田市市役所徒歩1分 |