出羽桜 研修日記 5日目

大吟醸の搾りが終わってからというもの、毎晩の酒盛りでへろへろに なってしまっていますが、切り返しと朝の出麹はおきなくてはなりません。 (昨年は大吟醸に関する作業は全て終わっていました)

出麹とは出来上がった麹を室から出して、枯らし場と呼ばれる 乾燥室に運ぶ作業を言います。出羽桜山形工場では天幕を使って(使わないときもあります) 麹を乾燥させています。朝6時の起床で室に行きます。 麹室のとなりに枯らし場があるので麻布に麹米を入れて かついで運びます。

手で均等に広げたあとに同心円の段ができるように米を整えます。 ちょうど日本庭園とかの細かい石(?)のようです。
(うまく説明できなくてすみません)

出羽桜は麹米(もと、初添え、仲添え、留添え)を運ぶときは全て かついで運びます。 私みたいに軟弱な研修生(^^;)は通常よりも少なめの量で運ばせて もらっていますがそれでもかなりきついです。掛け米はどのようにしているかというと、初添えはやはりかついで運びます。

仲添え、留添えはエアーシューターを使います。 エアーシューターが導入されたのはここ5年ほどの話だそうです。 それまでは全て担いでいたのだそうです。

ちなみに出羽桜山形工場で使用している醪のタンクは3t仕込みのタンクですが、 これを1本仕込むのに使う米の量は1500kgほどです。 一度に運ぶわけではないのですが、タンクは順を追ってどんどん仕込んでいく わけですのでこれだけとってもたいへんな作業だと想像できます。

さて今日はいよいよ大吟醸の火入れ作業です。 醪は3/5の袋吊り(4番目の仕込みの大吟醸)で斗瓶ごとにお酒をわけましたが、 そのお酒はまだ澱引きもすんでいないので、3番目の仕込みの大吟醸のものを 火入れ(殺菌)します。殺菌は瓶殺菌です。

一升瓶ごとに荒・仲・せめとあとは斗瓶ごとに わけられたナンバーがキャップに書いてある瓶を何十本も釜に入れて 温めていきます。 ダミーの瓶に水を入れてそれに温度計を差し込み60℃になるまで 注意深く見張ります。

釜で行う場合は温度にムラができる(どうしても外側から暖まる)ので 注意が必要です。60℃まで達するとすこしぬるめのお湯に 馴染ませて、次に水、最終的には氷水につけて急冷します。 この作業も慣れが必要な作業で失敗すると瓶が文字どおり破裂します。

仕込みを担当した方は洗米から浸積など全て手作業で行うために 手がぼろぼろでとても痛々しいです。 そのことを言うと笑いながら「これで痛いとか言っていたら 大吟は仕込めませんよ」と平然と言う蔵人に素直に感動しました。

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