本日も工業技術センターです。
今日は出来上がったどぶろくを濾します。
ここで「ん!?」と思った方は鋭い!
どぶろくの定義を説明させていただくと、普通の清酒と違う点は唯一、出来上がった醪を「濾さない」ものがどぶろくです。
ということで、どぶろくは既に出来上がっているのに、どうして濾す必要があるのか。それはこの工業技術センターの都合なのでした。
工業技術センターは清酒の試験醸造等の免許はありますが、どぶろくの試験醸造免許はありません。ですので、出来上がったどぶろくを濾して清酒扱いにするのです。
通常、清酒は薮田式(アコーディオンカーテンのお化けのような機械)や佐瀬式(押し槽とも呼ばれます)などで搾りますが、私達のは仕込みの規模が小さすぎるので遠心分離機で粕とお酒に分離します。
これが遠心分離機です。4つの入れ物が収納できますが、高速で回転させるためバランスを採る必要があります。それぞれ対角線上の入れ物の重さの誤差は1g以下にします。
遠心分離終了後はこうなります。
斜めになっているのが粕(というか固形物)です。
高速で回転させると、比重の違いから外側に固形物がいきます。
分離した清酒は別にとっておきます。
後でこれも分析機にかけて、アルコール度数などいろいろ測定します。
粕はこんな感じ。機械で搾った粕の場合は圧力をかけて搾りますが、遠心分離なのでかなりゆるゆるの柔らかい粕です。
分離して出来上がった清酒(?)は甘めでフルーティ。酸も高くてなんといったらいいのかな。清酒っぽくないです。ワインとも違うし...。
美味しいんですね。これが。私は好きです。あえていうと出羽桜の山形清々酵母を使った一連のシリーズに似ているかなぁ。
そういえば、仕込みも変形の二段仕込なので似ていますね。
KG
なるほど、これが遠心分離ですか!
獺祭(だっさい)もうこういう手法で作られるんですかね?
いやいやそれにしても…うらやましいです。
syu1
KGさんはじめまして。(ですよね?)
ここは山形県の酒造研究の総本山とも呼べる工業技術センターなのでこれが可能です。
というか、あまりにも量が少ないので通常の搾り(佐瀬式や藪田式)の機械が使えないのでこれで「搾り」作業となります。
工業技術センターは清酒の醸造免許はもちろんありますが、どぶろくの免許はないので、便宜上、搾り作業を行って清酒扱いにしないと法律に触れてしまいます。
獺祭の遠心分離は現場を見たわけではないのでなんともいえませんが、通常の造り酒屋の規模だと、どんなに小さくても750kg仕込みとかでしょうから、それを遠心分離で「搾る」というのは可能なんでしょうか?
可能だとすると、かなり大がかりな機械と相当な手間がかかると思います。
どぶろくですが、当店は試験醸造許可を頂き、醸造免許取得のために醸しました。おわかりかと思いますが一般の方が免許がなく、家庭で醸造を行う(まぁこれが本来のどぶろくなんでしょうが ^^;)ことはもちろん法律で禁じられています。念のため。
KG
獺祭の遠心分離機も今年は壊れてしまったようですねぇ。
やはり大掛かりな作りでデリケートなシステムなんでしょうか?
とても参考になる意見で勉強になりました。
量が少なすぎると通常の蔵の機械が使えないというのにはなるほど、と感心しちゃいました。
法律を守って…楽しくお酒を飲み続けます!!