杉勇は酒田の北隣、遊佐町の山の麓にある蔵元です。製造石数は500石程度と少ない量を醸している蔵元ですが、良質の水が育む銘酒は固定ファンも多くいらっしゃいます。
木川屋では新規取り扱い蔵元として、造りの現場を勉強するためにお邪魔させてもらいました。中央のメガネをかけた知的な方が代表社員の茨木さんです。
さて、杉勇に車で向かったのですがこの日は天気は超荒れ模様。
地吹雪となってしまいました。
杉勇までは酒田の市街地から田んぼを抜けて山の方まで走るのですが、
視界が...。
対向車もライトを点けて自分の車の位置を他の車に知らせています。
一番酷いと視界が10mほど。こうなるとノロノロ運転です。
撮影は全て妻がiPhoneで。
レンガ造りの歴史を感じさせる煙突ですが、もちろん今でも現役です。
釜を使っているときは、ここから湯気が出ています。
蔵元のある集落です。
ここは山の麓で鳥海山系の伏流水になります。
水質は大変良好でミネラルも多いそうです。
これが煙突の下に位置する和釜です。
ここで蒸米が作られます。
午後にお邪魔したので、蔵人は明日の準備をされていました。
オレンジの袋に入っているのは擬似米(お米のダミー)です。
杉勇の蒸しは半仕舞いです。2日にタンクを1本のペースで仕込んでいきます。
この日はちょうど半切りで山卸作業(もとすり)が行われていました。
この作業を行なっている蔵元も少なくなりました。丁寧に昔ながらの生もとの酒が仕込まれています。
蔵人は全部で8名、うち冬期のみの方が3名です。
杉勇は創業大正12年(1923年)、江戸時代より「鳳正宗」を造っていた蔵元と、酒田の杉勇酒造店が合併してできた蔵元です。歴史は古いです。
麹蓋もたくさんあります。
材料が手に入らなくなり、どの蔵も大切に使っています。
杉勇は開放型のタンクを使っています。
タンクは密閉式(タンク中央の部分の蓋のみが開く)と開放型(タンクがビーカーのような形で蓋が無い)と二種類があります。
タンクの胴体部分に巻いてある黒いものはウオータージャケットです。この中を水が通ってタンクを冷やします。
こちらも冷却用のフィンです。このフィンをタンクの中に沈め、ホースの中を通る水によって冷やします。
気温も低いので順調に仕込みは進んでいるそうですが、今年の米は溶けづらいそうです。これはどこの蔵元さんも口をそろえて言っていますね。やはり高温障害があったので今年の米は仕込みがたいへんそうですね。
足場は造りに来ている蔵人の方が作ったそうです。見た目以上にしっかりしています。
薮田式の2つです。
吟醸造りには微妙な調整ができる佐瀬式が良いのですが、部品も少なくなってきて維持がたいへんだそうです。
杜氏さん自らが機械のメンテナンスをしながら大切に使っています。
杉勇の杜氏は地元遊佐町のご出身で、もう30年以上この蔵の杜氏をされています。
こちらは原料米。今年は米不足で米の確保がたいへんだった蔵元が多かったのですが、杉勇は安定して確保できたそうです。
これが神棚! すごいです。
今までいろいろな蔵元にいきましたが、こんなに立派な神棚がある蔵元は見たことがありません。大きさも巨大です。中はもちろん松尾様(お酒の神様です)が祀られておりました。
茨木社長は平成2年に蔵元に入りました。現在48歳ですが、蔵に入る前は日立製作所のエンジニア(技術屋さん)でした。私も同じパターンです。
先代のお父様が早くに亡くなられて蔵を継がれたそうです。
この後、試飲を行いました。
私は運転手なので...。(T^T)
帰る頃には吹雪や止んでいましたが、車が冷凍状態に。(^^;)
帰る前にトイレをお借りしたのですが、戻ってくると茨木社長が居ない...。
どこ行ったんだろう? と思ったら外でうちの車の雪を落としてくださっていました。見た目通りの紳士な方。本当にすみません。
ということで無事に見学が終わりました。
杉勇の酒に固定ファンが多いのがなんとなくわかりました。酒質は良くも悪くも近年流行のものとは違います。ですが、これが「杉勇の酒」というのがはっきりしていて、たいへん好感が持てました。
香りよりも味、そして旨味とのみごたえのバランス。芯の太いしっかりとしたお酒は今後も異彩を放ってファンに愛され続けると思います。
木川屋も応援していきます。購入ページももうすぐできますよー。