期待の新品種「山形酒104号」誕生に至るまで
吟醸王国として全国的にもレベルの高い県として認知されている山形県。
山形県工業技術センターが中心になり、県をあげての高品質酒の製造への取り組みが、ようやく花開いた感があります。
酒造りのデータを一箇所に集め、分析し、そしてそれを同業者である各蔵元に配布し共有化する技術以外に、
山形県が取り組んできたことと平行して、県オリジナルの酒米造りも行ってきました。
山形県で純米吟醸クラスのお酒に主に使用されていたのが美山錦でした。
これにとって代わる存在として、1995年に育成されたのが山形酒49号(出羽燦々)です。
その後2004年に育成されたのが山形酒86号(出羽の里)。
これは純米酒をメインのターゲットにしていました。
そして一番上の大吟醸・純米大吟醸をターゲットにしているのが山形酒104号です。
104号の最終的な目標は、山田錦を超えることでしょう。
酒米の王様と言われ、長らく鑑評会でも主役の座につき、山田錦でなければ鑑評会で
金賞は獲れないとまで言われている名酒米です。
地道何十年もの時間をかけて、技術と米を磨き、山形県の酒造りもようやくここまで来ました。
山形酒104号を使用した酒造りは、今年は山形県内で10社ほどの蔵元が行っております。
杉勇の山形酒104号
山形県の新しい原料品種「山形酒104号」(名称 「雪女神」 登録申請中)を40%精米した純米大吟醸として仕込みました。
原料米の特性による綺麗な時は、40%精米歩合とあいまって、さらに透明感のある味わいです。
山形酒104号は出羽燦々・出羽の里と異なり、心白(しんぱく・米の中心に現れる白く濁った部分)は小さいです。
心白は発現率があり、米によって現れたり無かったりする率が異なります。
酒造りにおいては心白は有ったほうがよいです。
しかし、心白が大きすぎると脆く砕けやすくなるため、できるだけ小さいほうが高精米(米をたくさん磨ける)が可能になります。
つまり大吟醸等の高品質酒に向く米は、粒が大きく、心白の発現率が高く、尚且つ心白の大きさが小さい米となります。
山形酒104号はこれらの特性が大変優れている米です。
山形県オリジナル酒米の最高峰として開発された山形酒104号。
期待の酒米ですが、データの蓄積や米の特性に合わせた醸造技術の確立はまだまだこれからです。
今後さらなる飛躍の期待を込めて、まずは初年度仕込みのお酒を味わって下さい。
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